道のり長い和裁
和裁は、大変に時間がかかります
1人で縫えるようになるのに
私の先生のおっしゃるには、7枚は縫わないといけないとの事
1枚縫ってみるのでも慣れないうちはかなりの時間がかかってしまします
私の教室では初めに、簡単な手順を説明します
皆さん、「道のりが長い~!」と苦笑いされます^^;
習い始めはなぜそんなに時間がかかるの?
一言でいえば、運針(うんしん)がネック
運針とは、指ぬきと言うリングの様なものを使いとても早く縫うことができる
和裁独特の方法です
今は学校で教えないので出来なくて当たり前なのです
かつては、運針ができないと和裁を教えてもらえないということもありました
(かなり昔の事ですが・・・)
運針ができるようになってから習う方が
上達がはるかに早いのです
運針を調べていて面白い記事を見つけました
東京の池袋にある「豊島岡女子学園」(中学校・高等学校)では
毎朝、授業開始前に5分間の運針をするのだそうです
HPには、「困難にぶつかった時に自分でそれを乗り越える力や、
自分で工夫して考える力が運針で養われていると思います。
そうやって考えることは日々の成長につながっていきますし、
それこそ生きる力です。」とあります。
その運針の成果が、学力にも反映されていると言われています。
運針以外も難しい・・・
たとえば、1尺は何センチ!?
洋裁もそうですが計算が大変です
しかも「鯨尺」と言って聞きなれない単位
尺の寸法なのですが、大工さんが使うのは1尺が30.3㎝
和裁の鯨尺は1尺が約38㎝
メートル法で計算してある本もたくさんありますが
もともと鯨尺で作られていたものですから
センチで作るとどうしても少しずつ違ってしまう
そして、1尺の下の単位が1分(いちぶ)というのですが約3.8㎜
1㎜ずつのメモリより1分ずつのメモリの方が断然見やすい!!!
上側の一番小さい線がメートル法のミリ表示
下側の一番小さい線が鯨尺表示の1分
ちなみに
1丈(じょう)3.783メートル
1尺(しゃく)37.8センチ
1寸(すん)3.78センチ
1分(ぶ)約0.38センチ
1厘(り)約0.38ミリ
となっていますから
およそで1尺を38センチとして割り出して計算します
和裁では小さい数字は、5厘(約2ミリ)、1分(約4ミリ)を使いますから
メートル法より鯨尺のほうが使いやすいのです
用尺計算も慣れないうちは大変
和裁は反物の長さに合わせて仕立てるという方法をとります
(最近は、ちょっと変わってきていますが)
反物の長さも微妙にまちまちです
柄を綺麗に合わせたり
身長の高い人は
さらに計算が大変になります
生地の長さに合わせて縫う合理性
反物の長さは、昔と今とでは長さが違いますから
最近の反物は、用尺計算の工夫があまりいらないのですが
まだまだ、古い反物もあり柄や染色が素敵です(物が良いんですね)
背の高い人が、どうしても古い反物で縫おうと思うと長さが足りません
そこでどうするかというと
縫い上げという部分を調節するのです
縫い上げとは
もともとちょっと長めに裁断して腰のあたりでたたんで縫い込む部分です
仕立てに出すとほとんどが見栄えが良くなる工夫として後だけに少しありますが
私の場合は前も後もとります
私のように毎日着る人は裾が擦れて破れてくるので
この縫い上げをちゃんととってあると
縫い直してまた着られるのです
この合理性こそが和裁のすごいところです
だから、身長の高い人でも
この部分をなくしたり少なくしたりすることで
上手に調整できるのです
複雑だからこそおもしろい
この様な内容以外にも
和裁の合理的な点はまだまだ沢山あります
そして、反物の種類によっても縫い方は変わります
着る人の好みもあります
洋服でも同じような事ははありますが
和裁のほうがバリエーションが豊富
この複雑さがまた面白い
そして、聞きなれない言葉が沢山出てくるので
和装に詳しくない生徒さんからは
日本語なのに理解できなと言われています
浴衣が1枚出来上がるころには理解できますよ~